木材・製材の専門家

 木造建築は木材の特性として燃えやすい、音が響く、自由度があまりないなど一般的にマイナスイメージを持たれる場合があります。しかし、正しい対策を行うことでそれらのデメリットは解決可能であり 、他にはない魅力的なメリットを沢山持っています。

 木材は品質・安全に優れ、肌触りがとても良く、軽くて強いので加工がしやすくコストを抑えることが出来ます。また、正しい加工や対策をすることによって他の材質と同等の性能を持つことができ、最大のメリットの一つである木目を生かした美しいデザインなどにより更に自由度が広がります。

 当社では、これらの木材の特性を十分に生かす専門知識を持って、地域の環境保全と、お客様の安全・信頼を考えた施工を常に目指しています。

弊社注目のトピックス

 ヨーロッパでは、住宅の内装具に木材が好まれており、とりわけ熱帯産の硬木は品質が良く、多く用いられていました。しかし、これらの熱帯雨林財は再植困難なため、環境問題の高まりから、次第に使われなくなりましたので、地元の植林木を用いて、同じような性能・色を出せる熱処理木材(サーモウッド)の技術が開発され、今では広く普及しています。

 日本でもヨーロッパでサーモウッドが盛んになっていた頃、同じように輸入販売という形でサーモウッドが広まりつつありましたが、気候が比較的穏やかで湿度が高いヨーロッパに対し、湿潤な日本ではそのまま持ち込むにはいくつかの問題点が浮上してきました。

 そこで、技術を日本の気候風土に合わせて改良したサーモウッドを使用していきました。

高熱処理を施した環境に優しい耐久木材

①地域産材が使える

 スギやヒノキなどの市域産材をそのまま屋外に使うと、湿度・空気・水分の3つが最適な条件になると木材は腐朽します。

また、木材が反ったり割れたりする原因は、水分による木材の膨潤や収縮です。

 そこでサーモウッドは、これら3つの要因のうち、「水」をコントロールすることで寸法安定性と耐朽性の向上を図っています。

地域産材の使用が促されている今、サーモウッドは屋外で使いやすく、地域産材の付加価値向上に最適な材料です。AQ認証を取得した品質が信頼の証です。

②寸法安定性

 新高熱処理材処理の最大の特徴は、木材の寸法変化を小さくすることです。木材の寸法変化は、木材への水分の出入りに大きく左右されます。木材中の水分は、湿度によっても変化し、日本の気候で木材を使用していると大体15~20%になります。

 サーモウッド処理をすることで、同じ条件でも寸法安定性が向上し、木材中の水分を10%以下にまで抑えることができ、水の出入りによる寸法の変化が起こりにくくなり、木材を使う上で問題となる反りや曲がりが大幅に抑えられます。

熱処理による寸法安定機構

40℃・90%RHで調湿後、全乾状態まで乾燥させた時の収縮率


③耐朽性

 木材を利用する際、「腐る」という問題は必ず出てきます。

「腐る」ということは、腐朽菌が木材を分解することで起こる現象で、木材が生物資源として生態系で循環していくうえではこれは非常に重要なことです。しかし、我々が建築材料として利用する上では重大な欠点となります。

 そこでサーモウッド処理を使用することにより、無処理の木材と比べて腐りにくくなります。もともと木材の寸法性の向上を目的に用いられてきましたが、最近の研究では220℃以上の処理で、対朽性も向上することが明らかになってきました。

④断熱性

 木材にはもともと熱を伝えにくいという性質があります。

これは木材が無数の細胞からできており、一つ一つの細胞中に空気が入っているためです(空気には非常に熱を伝えにくい性質があります)。

 サーモウッド処理を行うことで、無処理の木材と比べると細胞中の水分が減り、その分空気の層が増えるので、さらに断熱性が向上します。

⑤環境(LCA-ライフサイクルアサスメントー)

耐朽性試験例

熱処理温度と熱伝導率


 私たちが購入、消費しているすべての製品は、製造されてから捨てられるまでの1サイクルの間に、多くのエネルギーを使用します。

製品となる資源の採取から製造・輸送・使用・廃棄などすべての段階における環境への影響を定量的、客観的に評価する手法をLCA(ライフサイクルアサスメント)と呼びます。この手法を活用することで、同じ性能を持つ製品の中でもより良い環境負荷の度合いが低い製品を選択することができます。サーモウッドの環境影響評価は、外装材としてよく用いられるアルミやタイル等と比べて高く、環境負荷が低い適した製品です。

サーモウッドを利用した事例

長和町庁舎(2015年)

参考文献:越井木材工業株式会社(著者不明)2012年9月発行「WOOD CLADDINGVo.2」

http://www.koshii.co.jp/index.html

都市の環境問題と改善効果

ヒートアイランド現象について

 都市の気温が郊外に比べて高くなる現象を、「ヒートアイランド現象」といい、気温分布が島のような形状になることから、そう呼ばれています。

 この現象は都市特有の環境問題として別名「熱汚染」とも呼ばれ、夏の熱帯夜の増加など、都市住民の健康的な生活に影響を及ぼしています。それらの原因として、都市の大部分がアスファルトやコンクリートで覆われており、日射による熱を蓄積しやすくなっていること、生活や産業活動が集中することによる人口排熱の増加などが考えられています。

ヒートアイランド現象を緩和する木製外装材

 ヒートアイランド現象の対策で重要な項目として、大気の拡散性が小さい夜間にどれだけ大気への熱放出を抑えることができるかが挙げられます。

 木製外装材は、熱が蓄積しにくい「熱しやすく冷めやすい」材料です。都市の表面に露出しているコンクリートなどの建築物を木製外装材で被覆することで、夜間の大気への熱放出を抑えることができます。また、日射がコンクリートやガラス面を通して、室内へ入り込みにくくなることで、冷房機器の電気使用量を削減でき省エネの効果が得られます。これは人口排熱の抑制にも繋がるため、ヒートアイランド現象だけでなく地球温暖化の防止に寄与することが期待できます。


参考文献:越井木材工業株式会社(著者不明) 2014年8月発行「WOOD CLADDINGVo.4」

http://www.koshii.co.jp/index.html